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最近、ニュースやSNSで「金が高騰」「過去最高値」といった情報を目にする機会が増えました。インフレ、円安、そして世界各地で起こる紛争リスクなど、不安定な時代に金は「安全資産」としてますます注目を集めています。
とはいえ、「今が買い時なのか」「すでに高すぎるのではないか」「これから下がるリスクはないのか」と不安に思う方も多いはずです。この記事では、金価格が今なぜ話題なのか、そして今後どう動くのかを、初心者にも分かりやすく解説します。
併せて、価格変動の要因やプロによる予想、買い時の見極め方、そして金投資をする際の注意点もご紹介します。資産形成の一手として金投資をどう捉えるべきか一緒に見ていきましょう。
1. なぜ金価格は注目されているのか

金価格の動向がこれほどまでに注目されるのは、現代社会が抱える多くの不安と密接に関係しています。なぜ金がここまで私たちの関心を集めるのか、その理由を掘り下げていきましょう。
1-1. 金が「安全資産」とされる理由
金は、太古の昔から通貨や宝飾品として人々に利用されてきました。その歴史は数千年にも及びます。しかし、金が真に「安全資産」としての地位を確立したのは、近代の金融システムにおいてです。
かつて、多くの国の通貨は金と交換できる「金本位制」が採用されていました。これは、紙幣の価値が発行元の国の信用力だけでなく、裏付けとなる金の量によって保証されていたことを意味します。
国家の信用が揺らぎ、紙幣が紙くずになる可能性があっても、金そのものの価値がゼロになることはありません。これは、金が採掘量に限りがある希少な資源であり、工業用としても需要があるためです。経済危機や戦争など有事の際には、国家が発行する法定通貨の信用が失われやすくなりますが、金はそうしたリスクから資産を守る「安全な資産」として機能します。
1-2. 株や通貨とは異なる金の価値の特徴
株式や債券、そして法定通貨は、発行体(企業や国家)の信用力に依存しています。企業の業績が悪化すれば株価は下がり、国の信用が揺らげば通貨の価値は変動します。これに対し、金は特定の企業や国家に左右されません。
株式は投資した企業の成長を期待して購入するものですが、金は保有していること自体に価値があります。配当や利子を生み出すわけではありませんが、その代わり、信用リスクがないという大きな強みを持っています。
1-3. 価格上昇が注目される背景と主な要因
現在の金価格高騰の主な要因としては、以下のような点が挙げられます。
- ●インフレの進行:経済全体で物価が持続的に上昇するインフレでは、紙幣の価値が減少してしまいます。しかし、金の価値は物価に連動して上昇する傾向があるため、インフレ対策として金への投資が進みます。
- ●円安の進行:日本に住む私たちにとって、円安は金価格を押し上げる直接的な要因です。金の国際的な取引は主に米ドル建てで行われるため、1トロイオンスあたり2,000ドルの金は、1ドル120円のときよりも1ドル150円のときのほうが、円換算では高くなります。
- ●地政学的リスクの高まり:世界各地で紛争や対立が激化すると、投資家はリスクを回避しようとします。その結果、安全資産である金への需要が高まり、価格が上昇します。
- ●中央銀行の動向:近年、世界各国の中央銀行が外貨準備として金を買い増す動きが活発になっています。これは米ドルへの依存を減らし、自国の通貨の安定を図る目的があります。中央銀行という巨大な買い手が出現したことも、金価格を押し上げる大きな要因です。
2. 金価格のこれまでの推移と現在の状況

近年の金価格の推移を見ると、私たちの社会が直面してきた大きな出来事が、そのまま価格に反映されていることが分かります。
2-1. コロナ後から2024年までの金価格の動き
2020年初頭、新型コロナウイルスのパンデミックが世界を襲うと、各国は経済活動を維持するため大規模な金融緩和(量的緩和政策)に踏み切りました。市場に大量の資金が供給されたことで、投資家のリスク回避志向が高まり、金価格は史上初めて2,000ドルを突破しました。
2021年から2022年にかけては、インフレの進行を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切りました。通常、金利上昇は金価格にとってマイナス要因とされます。しかし、ウクライナ戦争の勃発で安全資産への需要が再び高まり、金価格は高値を維持しています。
2023年は、FRBの利上げ停止観測や中東情勢の緊迫化が重なり、価格はさらに上昇しました。そして2024年には、米国の利下げ観測が強まり、米ドルの価値が下がるという見通しから、金への投資熱が再び高まり、史上最高値を何度も更新する展開となっていました。
2-2. 現在の金価格が高騰している背景
足元で金価格が高値圏にあるのは、過去数年間の要因が作用しているためです。
- ●米ドルの価値と金利政策:金価格は米ドルの価値と逆相関の関係にあります。FRBが利下げに転じると、米ドルの価値が下がる傾向にあり、ドル建てで取引される金の価格は相対的に上昇します。これが金価格の上昇圧力となっているのです。
- ●地政学的リスク:ウクライナでの戦争や中東情勢の不安定化は収束の兆しが見えず、投資家のリスク回避志向は根強いままです。有事のたびに金は買われ、価格を下支えしています。
- ●中央銀行の買い入れ:新興国を中心に中央銀行が外貨準備として金の保有を増やしています。特に中国やインドの中央銀行は大量の金を購入しており、これが需要増に大きく貢献しています。
- ●個人投資家の需要増加:インフレや円安を背景に、日本を含む世界中の個人投資家が、リスク分散の目的で金を買い始めています。
3. 金価格の今後はどうなる?2025年以降の見通し

金価格の今後を正確に予測することは誰にもできません。しかし、価格を左右する主要な要因を理解することで、今後の動向をある程度見通すことは可能です。
3-1. 金価格に影響する主な要因
今後の金価格を見る上で、特に注視すべきは以下の4つのポイントです。
- 1.米ドルの動向:FRBの利下げ観測から米ドルの価値が下落すれば金価格には追い風となります。逆に、米国経済が予想以上に好調でドル高が続けば、金価格の上昇を抑制する可能性があります。
- 2.地政学的リスク:世界中で起こる紛争や政治的な対立が拡大すれば、安全資産としての金需要がさらに高まります。特に、中東や東アジア情勢は今後も目が離せません。
- 3.インフレ率:インフレが根強く続けば、金はリスクヘッジとして引き続き買われるでしょう。
- 4.中央銀行の金購入動向:中央銀行の買い入れが今後も継続するかどうかが、長期的な金価格の大きなカギを握っています。
3-2. 上昇と下落、両方のシナリオ分析
【価格が上昇するシナリオ】
- ●米ドルの価値減少:米国経済が緩やかに減速し、FRBがインフレを抑制しつつ利下げを開始する。これによって米ドルの価値が下がり、株式市場も不安定になるため、金は投資対象として魅力を増し、価格はさらに上昇する。
- ●世界経済の景気後退:世界経済が急激に悪化し、景気後退に陥る。市場全体がリスクオフムードとなり、株式やリスク資産から資金が引き揚げられ、安全資産である金に集中するため、価格は急騰する。
- ●地政学リスクの高まり:新たな紛争や国際的な対立が勃発。経済的混乱や不確実性が増し、金が買われ続ける。
【価格が下落するシナリオ】
- ●インフレの終了:各国の中央銀行の努力が実を結び、インフレが急速に収束する。すると、インフレヘッジとしての金の魅力が薄れ、投資家はリスク資産へと資金を移し、価格は下落する。
- ●米ドル高の継続:米国経済が予想外に好調を維持し、FRBが利下げに踏み切らない、または利上げの可能性も残る。これによって米ドルが買われ、ドル建ての金価格は相対的に下落する。
- ●地政学リスクの沈静化:世界各地の紛争や政治的対立が平和的に解決に向かう。リスク回避の必要性が薄れ、金への資金流入が減少し、価格が下落する。
金価格はこれら複数の要因が綱引きする形で決まります。上昇と下落、どちらのシナリオにも備えておくことが賢明です。
4. 今後の金の売買で失敗しないために

金価格が高騰している今、「売るべきか」「買うべきか」と悩む方も多いでしょう。ここでは、金投資で失敗しないための重要なポイントを解説します。
4-1. 売却タイミングは「自己判断」よりも「相場×目的」で
「価格が高いから今が売り時だ」と考えるのは自然なことですが、それだけで判断するのは危険です。金の売却タイミングは、市場の相場と自身の資産形成の目的を照らし合わせて判断すべきです。
例えば、老後の資金計画のために長期で保有する目的で金を購入したなら、目先の価格変動で一喜一憂する必要はありません。一方、短期的な価格変動で利益を出すことを目的としていたなら、利益確定のために売却を検討するのは重要です。
大切なのは、「なぜ金投資を始めたのか」という原点に立ち返ることです。分散投資、相続対策など、目的は人それぞれ。目的を達成するために最適なタイミングを見極めることが、後悔しない売却につながります。
4-2. 金の買取価格と手数料の落とし穴
金を売却する際、買取業者から提示される価格には注意が必要です。私たちがニュースなどで目にする「今日の金価格」は、あくまで市場の基準価格であり、実際に買取業者から提示される価格とは異なります。
買取価格は、基準価格から手数料や精錬加工費を差し引いた金額となることが一般的です。この手数料は業者によって異なり、中には不透明な形で高額な手数料を請求する業者も存在します。
また、買取価格を提示する際に、「本日の買取価格は〇〇円です!」とうたっていても、実際に金を鑑定してみると、「比重が低い」「純度が足りない」などと理由をつけられ、最終的な買取額が大幅に減額されるケースもあります。査定の仕組みを事前に確認し、納得できる業者を選ぶことが重要です。
4-3. 信頼できる買取業者を選ぶポイント
失敗しない金の売却には、信頼できる買取業者選びが不可欠です。以下のポイントをチェックしましょう。
- ●古物商許可証の有無:信頼できる業者は、必ず古物商許可証を取得しています。店舗やウェブサイトに許可番号が明記されているか確認しましょう。
- ●査定プロセスの透明性:目の前で純度や重さを正確に測ってくれるか、手数料の内訳を明確に説明してくれるかを確認しましょう。
- ●複数の業者から見積もりを取る:1社だけでなく、複数の業者に査定を依頼することで、適正な価格を知ることができます。
- ●口コミや評判の確認:実際に利用した人の口コミや評判をオンラインで調べることも有効です。ただし、過度に良い評価や悪い評価には注意し、総合的に判断しましょう。
- ●買取実績の豊富さ:多くの買取実績がある業者は、その分信頼性が高い傾向があります。
まとめ
金価格は、世界経済の不安定化や地政学的リスクの高まりを背景に、「安全資産」としての地位を確立し、ますます注目を集めています。
この記事では、金価格が上昇している背景や今後の見通し、そして金投資をする際の注意点について詳しく解説しました。金価格は、米国の金融政策、米ドルの価値、そして地政学的リスクといった複数の要因によって複雑に変動します。今後の動向は誰も予測できませんが、長期視点での分散投資の一つとして、金をうまく取り入れていきましょう。
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