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金を売却して利益が出たとき、「これって税金がかかるの?」「確定申告は必要なんだろうか?」と不安に感じる方は少なくありません。金の売却による利益は「譲渡所得」と見なされ、一定額を超えると所得税の課税対象となります。しかし、実は多くの場合、年間50万円の特別控除があるため、税金がかからずに済むケースも多いのです。
この記事では、金売却時に税金がかかる仕組み、課税対象となる譲渡所得の具体的な計算方法、そして税金がかからない非課税の条件について、誰にでも分かるように詳しく解説します。この記事を読めば、ご自身の金の売却が課税対象になるのかを判断でき、安心して手続きを進めることができます。
1. 金の売却益は「譲渡所得」として課税対象になる

まず、金の売却で得た利益が、税制上どのように扱われるのか、基本的なルールから理解しましょう。
1-1. 金の売却で得た利益は「譲渡所得」
個人が所有している金を売却して得た利益は、所得税法上「譲渡所得」という区分に分類されます。これは、毎月の給料である「給与所得」や、お店の売上である「事業所得」とは異なる、資産を譲渡(売却)した際に生じる一時的な所得です。
なお、家具や自家用車など「生活に通常必要な動産」は、1個または1組の価額が30万円以下であれば非課税です。ただし、貴金属や宝石はこの非課税の対象外とされており、1個または1組の価額が30万円を超える場合には譲渡所得として課税対象となります
例えば、1個あたり20万円の指輪を売却した場合には課税されませんが、50万円の指輪を売却した場合には課税対象となります。
土地や建物、株式の売却益も同じ譲渡所得ですが、金の売却益はこれらとは別に計算される「総合課税の譲渡所得」に該当します。この所得は、最終的に給与所得などほかの所得と合算して、全体の所得税額が計算される仕組みになっています。
1-2. 譲渡所得の基本的な計算方法
税金の計算の基礎となる譲渡所得の金額は、以下の計算式で算出します。これは「いくらで売れて、そのためにいくらかかったのか」を計算する、利益計算の基本です。
譲渡所得(売却益)= 売却価格 -(取得費 + 売却費用)
- 売却価格:
買取業者から実際に受け取った金額です。 - 取得費:
その金を購入したときの代金です。親から相続した場合など、購入金額が不明なケースについては後述します。 - 売却費用:
売却するために直接かかった費用のことです。例えば、売却時の手数料や鑑定料などがこれにあたります。
例えば、100万円で売却した金の購入費用が60万円で、売却手数料が5万円だった場合、譲渡所得は「100万円 -(60万円 + 5万円)= 35万円」となります。
1-3. 会社員や主婦(主夫)でも確定申告は必要?
「会社員だから年末調整で税金関係は終わっている」「専業主婦(主夫)で収入がないから関係ない」と思われがちですが、それは誤解です。金の売却による譲渡所得は、年末調整の対象外であり、給与所得とは別に計算する必要があります。
そのため、金の売却によって一定額以上の利益が出た場合は、職業に関わらず、ご自身で税務署へ確定申告を行い、納税する義務があります。
ただし、すべてのケースで確定申告が必要なわけではありません。次に解説する「特別控除」によって、多くの場合、税金がかからず確定申告も不要になります。
2.【重要】年間50万円以下の利益なら税金はかからない!

金の売却における税金を考える上で、もっとも重要なのが「年間50万円の特別控除」の存在です。このルールを理解すれば、多くの方が税金の心配なく金を売却できます。
2-1. 譲渡所得には「特別控除50万円」がある
金の売却益を含む総合課税の譲渡所得には、年間で合計50万円の特別控除枠が設けられています。これは、「年間の譲渡所得が50万円までなら、その分は利益から差し引いて計算してよい」という、納税者にとって非常に有利な制度です。
この特別控除は、譲渡所得が発生した人すべてに適用されます。
2-2. 税金がかからない具体的なケースとは
特別控除があるため、税金がかかるかどうかのボーダーラインは「譲渡所得が50万円を超えるかどうか」になります。
課税対象の譲渡所得 = 譲渡所得(売却益)- 特別控除50万円
この計算結果が0円以下になれば、課税される所得はないということになります。
- ケース①:税金がかからない場合
売却価格100万円、取得費60万円、売却費用5万円
→ 譲渡所得 = 100万円 -(60万円 + 5万円)= 35万円
→ 課税所得 = 35万円 - 50万円 = -15万円 → 0円
この場合、課税所得が0円なので、所得税はかからず、確定申告も原則として不要です。 - ケース②:税金がかかる場合
売却価格150万円、取得費80万円、売却費用5万円
→ 譲渡所得 = 150万円 -(80万円 + 5万円)= 65万円
→ 課税所得 = 65万円 - 50万円 = 15万円
この場合、課税所得が15万円残るため、この金額を元に税金が計算され、確定申告が必要になります。
2-3. ほかの譲渡所得と合算して計算する点に注意
注意点として、この50万円の特別控除は「金の売却専用」の枠ではなく、「年間の総合課税の譲渡所得全体」に対する枠である点です。
例えば、同じ年に金を売却して30万円の利益が出たほかに、ゴルフ会員権を売却して40万円の利益が出ていたとします。この場合、譲渡所得の合計は70万円となり、特別控除50万円を差し引いた20万円が課税対象となります。
また、この控除枠は個人単位で適用されます。例えば、ご夫婦がそれぞれご自身の名義で所有している金を売却し、夫が40万円、妻が40万円の利益を得た場合、それぞれが50万円の控除枠を使えるため、夫婦ともに課税所得は0円となり、税金はかかりません。
3. 保有期間で税額が変わる!短期と長期の譲渡所得

譲渡所得が50万円を超えて課税対象となる場合、次に重要になるのが「その金を何年保有していたか」です。保有期間によって、税金の計算方法が大きく変わります。
3-1. 保有期間5年以下:「短期譲渡所得」
売却した金の保有期間が5年以内の場合、その利益は「短期譲渡所得」に分類されます。
短期譲渡所得の課税対象額の計算はシンプルです。
課税所得(短期) = 譲渡所得 - 特別控除50万円
この計算で算出された金額の全額が、給与所得などほかの所得と合算されて税額が計算されます。
- 計算例(短期)
譲渡所得が65万円だった場合、課税所得は「65万円 - 50万円 = 15万円」となります。この15万円がそのまま課税対象としてほかの所得に加算されます。
3-2. 保有期間5年超:「長期譲渡所得」
売却した金の保有期間が5年を超える場合、その利益は「長期譲渡所得」に分類され、税制上非常に有利な扱いを受けます。
課税所得(長期)=(譲渡所得 - 特別控除50万円)× 1/2
長期譲渡所得では、譲渡所得から特別控除50万円を差し引いた金額を、さらに半分にしてからほかの所得と合算します。
- 計算例(長期)
譲渡所得が同じく65万円だった場合、課税所得は「(65万円 - 50万円)× 1/2 = 7.5万円」となります。
3-3. 長期保有のほうが税制上は有利
上記の例で分かるように、同じ利益が出たとしても、保有期間が5年を超えるかどうかで課税対象となる金額が半分になります。
短期譲渡所得(保有5年以下) | 長期譲渡所得(保有5年超) | |
譲渡所得 | 65万円 | 65万円 |
特別控除 | -50万円 | -50万円 |
1/2の適用 | なし | あり |
課税所得 | 15万円 | 7.5万円 |
このように、金を長く保有してから売却するほうが、税金の負担は大幅に軽くなります。
4. 確定申告が必要なケースと手続きの流れ

譲渡所得が50万円を超えた場合など、確定申告が必要になる条件と、その際の手続きについて解説します。
4-1. 確定申告が必要になる条件
主に、以下のようなケースで確定申告が必要になります。
- 譲渡所得が特別控除50万円を上回る場合
これがもっとも基本的な条件です。計算の結果、課税所得が1円でもプラスになれば申告が必要です。 - 給与所得者で、給与以外の所得が合計20万円を超える場合
会社員の方で、金の売却益を含む副業などの所得合計が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。ただし、譲渡所得の計算では特別控除50万円を差し引いた後の金額で判断します。 - もともと確定申告が必要な人
個人事業主や不動産収入がある方、年金収入が400万円を超える方など、もともと確定申告を行う必要がある方は、譲渡所得の金額に関わらず申告書に記載が必要です。
4-2. 確定申告の期間と必要書類
- 申告期間:原則として、金を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間です。
- 必要書類:
- ・確定申告書
- ・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
- ・源泉徴収票(給与所得者の場合)
- ・支払調書:買取業者から発行される、取引内容を記録した書類。
- ・取得費を証明する書類:金を購入した際の領収書や契約書など。
- ・売却費用を証明する書類:売却時の手数料の領収書など。
4-3. 分からない場合は税務署や税理士に相談
確定申告の手続きは複雑に感じるかもしれません。もし計算方法や書類の書き方に不安がある場合は、無理せず専門家に相談しましょう。
- 税務署:
管轄の税務署に問い合わせれば、無料で相談に乗ってもらえます。確定申告期間中は、無料相談会が開催されることもあります。 - 税理士:
費用はかかりますが、税の専門家である税理士に依頼すれば、正確かつスムーズに申告手続きを代行してもらえます。
5. 金を売却する際の税金に関する注意点

最後に、金の売却と税金に関して、特に注意しておきたい3つのポイントを解説します。
5-1. 購入時の価格が分かる書類(取得費の証明)は保管しておく
譲渡所得の計算で非常に重要になるのが「取得費」です。しかし、先祖から受け継いだ金などで購入価格が分からないケースも少なくありません。
取得費が不明な場合、税法上「売却価格の5%」を概算取得費として計算するルールがあります。
例えば、100万円で売却した金の実際の取得費が60万円だったとしても、証明書類がなければ取得費は「100万円 × 5% = 5万円」と見なされます。すると、譲渡所得は95万円となり、実際の利益よりもはるかに高額な税金がかかってしまいます。
購入時の領収書や契約書は、将来の売却に備えて大切に保管しておきましょう。なお、取得費が不明な場合でも、金の査定や買取自体は問題なく可能です。
5-2. 200万円を超える取引では「支払調書」が税務署へ提出される
買取業者は、一度の取引で金地金等の売却額が200万円を超えた場合、売却者の氏名や住所、取引内容などを記載した「支払調書」を税務署へ提出することが法律で義務付けられています。
これにより、税務署は高額な金の取引を把握しています。「申告しなくてもバレないだろう」と安易に考えるのは非常に危険です。利益が出た場合は、必ず適正に申告しましょう。
5-3. マイナンバーの提示が必要になる
上記の支払調書には、売却者のマイナンバー(個人番号)を記載する必要があります。そのため、200万円を超える金を売却する際には、運転免許証などの本人確認書類に加えて、マイナンバーカードや通知カードの提示が求められます。スムーズな取引のために、事前に準備しておきましょう。
まとめ
金の売却で得た利益には、譲渡所得として税金がかかる可能性がありますが、年間50万円の特別控除があるため、多くの場合非課税となります。また、保有期間が5年を超えると税制上有利になることも覚えておきましょう。ご自身の状況が課税対象になるか不安な場合は、専門家への相談もご検討ください。
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